インクジェット紙の秘密 【インク受容層がポイントです】

名画をインクジェット用紙に印刷して展示

インクジェットプリンターできれいに印刷するには、インクジェットプリンター専用の紙を使うと良いでしょう。インクジェット紙に塗布されているインク受容層というコーティング素材が、印刷の仕上がりに大きな役割を果たしているからです。
インク受容層の役割と、インクジェット紙の種類をご紹介します。


こんなに違う印刷結果! 紙を変えて印刷してみました

インクジェットプリンターでは、用紙の種類によって印刷結果に違いが出ます。
インクジェットプリンターの用紙は大きく分けて「普通紙」と「インクジェット紙」の2種類です。

カラーの原稿では印刷結果の違いがはっきりとわかります。
用紙によって発色がどのように変わるのか試してみました。左が普通紙、右がインクジェット紙です。

普通紙とインクジェット紙の発色の違い
普通紙(左)とインクジェット紙(右)

インクジェット紙で印刷した方が、鮮やかな発色になっています。

このように、カラー印刷の結果は用紙の種類に大きく影響されます。
なぜこれほど大きな差が出るのでしょうか?


受容層が決め手

印刷結果の違いの秘密は、インクジェット紙の表面に塗られている素材です。
表面に塗られた素材をインク受容層といい、その名の通りインクを受け止め、固定する働きがあります。

インクジェットプリンターはインクを直接、紙に吹き付けることで印刷します。紙に吹き付けられたインクが受容層にとどまることで、インク本来の色を表現できるのです。

一方、受容層の塗られていない普通紙では、吹き付けられたインクは紙の繊維にしみ込みます。インクがしみ込んでしまうと、インク本来の色が表現できなくなります。

このように受容層の有りと無しの違いが、発色の違いになって現れます。

普通紙とインクジェット用紙の受容層
インク受容層がインクを受け止める          

インクジェット紙の種類は

ひとくちにインクジェット紙といっても、さまざまな種類があります。
今回は光沢紙、マット紙、和紙、アート紙(ラフ)の代表的な4種類の印刷結果をご紹介します。

インクジェット紙の表面の比較
光沢紙 マット紙 和紙 ファインアート紙(ラフ)

光沢紙

写真印刷に最適な用紙です。光沢感があり、銀塩写真のような質感を表現できます。

インクジェット紙の光沢紙へ印刷して飾る
写真作品 撮影場所:岐阜県関市板取 通称「モネの池」
用紙:キヤノン写真用紙 光沢プロ

マット紙

絵画や写真、クラフト等さまざまな用途の印刷に使えます。

インクジェット紙のマット紙に印刷して飾る
作品名:Farmhouse in Provence 作者:ゴッホ 
用紙:キヤノン写真用紙 プレミアムマット

『Farmhouse in Provence』のダウンロードはこちらから

ファインアート紙

原料にコットン等を使用した、落ち着いた風合いの紙です。
その名の通り、アート作品の印刷におすすめです。

インクジェット紙のファインアート・ラフ紙に印刷して飾る
作品:Pont Neuf, Paris 作者:ルノワール
用紙:キヤノン写真用紙 ファインアート・ラフ

ファインアート・ラフ紙の表面には凹凸があり、奥行き感・立体感を表現できます。
油絵など凹凸のある絵画作品に最適な用紙です。

ファインアート・ラフ紙の拡大写真
右上部 拡大図

『Pont Neuf, Paris』のダウンロードはこちらから

和紙

日本伝統の紙で、独特の風合いがあります。原料や製法によってさまざまな種類があり、日本画や水彩画の印刷に適しています。

日本画をインクジェット和紙に印刷して飾る
作品:Album of Copies of Chinese Paintings 作者:狩野常信
用紙:アワガミインクジェットペーパー楮(厚口)生成

楮の和紙は繊維が太く長いので、表面に独特の風合いがあります。また生成なので、地の色がナチュラルな黄みを帯びています。日本画との相性が良い紙です。

インクジェット和紙の拡大写真
右上部 拡大図

『Album of Copies of Chinese Paintings』のダウンロードはこちらから 

和紙についてはこちらで詳しく解説しています。


紙以外の素材

代表的なインクジェット紙をご紹介しました。ここでご紹介した紙以外にも、用途に応じたさまざまな用紙があります。

また、インクジェットプリンターは紙以外の素材(メディア)にも印刷できます。
例えば、マグネットシート、アイロンプリントシート、布、ビニールなどです。これらのメディアはすべて素材の表面に受容層が塗ってあります。


いかがでしたか?
インクジェットプリンタ-の特徴はバラエティに富んだ紙や素材に印刷できることです。
目的に応じて用紙や素材を使い分けて、お部屋に飾ったり、友人にプレゼントしてはいかがでしょう。

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